旅の果て
もうどれくらいたっただろう
輝く時を探して 愛おしい景色を求めて
月と日の通り道を覚えるほどに
旅の果てに辿り着いたのは
旅立ったはずの はじまりの地だった
灯りのついたドアをあける
おかえり
テーブルにはだいすきなケーキが待っていた
どっしりとしたチョコレートのケーキ
こぼれ落ちそうな星空をみようと窓をあけると
心地よい夜風が頬をかすめた
ああこんな旅のお終いもわるくない
何かがはじまる予感がした
山きらめく
それはどこでもない ここ
まんなかにある
すばらしいたからもの
きらきら きらめくたからもの
深い深い 安らぎ
清らかな 静けさ
どっしりとした 落ちつき
想像すら超える 恵み
おおいなる光が降り注ぎ
より輝きをましてゆく
きらきら きらきら
そのきらめきに
誰も気がつかないかもしれない
外がまぶしくて見失うこともあるかもしれない
でも大丈夫
いつだって まんなかとつながっていれば
きらきら きらきら
あるがままに 山はきらめく
満月の森
迷い込んだ夜の森
木々や草花 生きものたちの
溢れる力でにぎわっている
歌え 踊れ 舞いあがれと
そんな森をさとすように
冷たい光が静かに優しく包み込む
見上げれば ぽっかり浮かんだ
森を映す まんまるお月
新月の森
お月さまがいない静かな夜
瞬きめぐる星たちのささやきが
遠くからきこえてくる
香ばしく穏やかな森が
その小さな声をあつめて
丁寧に紡いでいくと
はるかな物語の幕があがる
あたらしいなにかが
はじまろうとしている
夢みるさんかく山
鳥たちの歌に耳を傾け
星の瞬きをしずかにながめ
太陽と月の通り道をよく知っている
雨がふる日も風がふく日も
ゴツっとたのもしい さんかく山は
ながれ雲がこっそり教えてくれた
うつくしきまちに
いつか旅するのを夢みている
山司る
山笑う 山滴る 山粧う 山眠る
山の季節をあらわした季語
山の神 熊
知恵のある存在 熊
豊かさの象徴 熊
自然の原理の象徴 熊
光と影 眠りと目覚め 楽しいと退屈 両極を司る 熊
四季の変わりを司る 熊
山司る 熊
紅
紅は風にのって
あちらこちらを旅している
どこかしらに紅を紡ぎながら
空をうっとりするくらい美しい夕焼けにしたり
おいしい実りの合図を出したり
かわいいあのコの頬を染めたり
紅は今日も気分よく旅している
あまずっぱく囁きながら
たくさんの土産話を持って
ぐるぐるめぐる
ぐるぐる ぐるぐる
溢れたものをめぐらせていく
ときに光の速さで駆け抜けるように
ぴゅぴゅぴゅーっと
ときに固唾をのんで薄紙をはがすように
そうっとそうっと
ときに厳しくも美しく流れゆく季節のように
とうとうと
ときに後戻りしては反動で思いもよらぬところまで
ぐぐぐんと
ぐるぐる ぐるぐる
めぐる めぐる
おまけに ぐるぐる
もうひとまわり
ぐるぐるめぐって
もどってくる
カンカンカン
それは
直感?予感?第六感?
カンカンカン
胸のうちのうちから
鋭く湧き上がる
本能のままに
理屈では説明つきやしない
けれど本質をつかむもの
カンカンカン
ときにはカンちがいもあったりね
そうそう ただのカンだもの
カンカンカン